伊東達矢校長ブログ
2025.12.19
非認知能力
最近、「非認知能力」という言葉をよく耳にします。
IQ(知能指数)や学力テストなどで評価する能力を「認知能力」と呼ぶのに対し、物事についての考え方、取り組む姿勢、行動など、日常生活や社会活動において重要な影響を及ぼす能力のことを言います。2000年にノーベル経済学賞を受賞した、アメリカのジェームズ・ジョセフ・ヘックマンの研究チームが、幼児期に意欲、協調性、やり抜く力といった非認知能力を育成することによって社会が安定すると発表し、世界中で非認知能力の研究が進められるようになりました。
日本の学習指導要領には、「何ができるようになるのか」という観点から、「知識および技能」「思考力・判断力・表現力など」「学びに向かう力、人間性など」の3つの柱からなる「資質・能力」を総合的にバランスよく育んでいくとあり、非認知能力の重要性が示されています。
数値化できる認知能力に対し、非認知能力は数値化が難しいものです。
それは非認知能力が、目標を定めて取り組む力、意欲を発揮する力、新しい発想をする力、周りとコミュニケーションを取る力といった内面的なものだからです。
でもよく考えてみれば、非認知能力とされる、何かに取り組むときの自信や根気、行動に際しての共感、協調、自制といったものは、これまでも学校において重視され、育成されてきたはずです。
子どもたちは、学年やクラスで決めた目標のもとで、集団活動における人間関係の葛藤や連帯を経験します。自分の性格や行動の特性を自覚し、人間力を高め、他者と協働することを学びます。学習活動や友だちとの遊びにおいて社会性や公共心を身につけることは、いまになって急に大事になったのではありません。
子どもの非認知能力を育てるために、大人のすべきことはとてもシンプルです。
自分にはできる、きっとできるという子どもの自己肯定感を高め、そのための環境を整えることです。例えば、
・子どもができるようになったとき、すかさず褒める
・結果だけでなく、努力の過程を褒める
・しくじったとき、否定的な声掛けをしない
といったことを実行します。
子どもに「こうなってほしい」という期待はしても、それに誘導するようなことをせず、子どもが興味や関心を向けていることのじゃまをしないことです。つまり、子どもが「自分で決めた」と思えるようにするのです。
もちろん、知識・技能といった認知能力も必要です(掛け算の九九ができることは大切です)。非認知能力という「新しい」言葉に惑わされ、認知能力を軽視するようでは本末転倒です。


伊東 達矢
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