伊東達矢校長ブログ
2026.01.30
熱意と指導力
目の前にいる子どもをよくしたい。教師ならそういう熱意を持っているはずです。
その熱意は、どんなところに見て取れるものでしょうか。
まずは、明るくて元気なところです。
「どんな先生?」と聞かれて、不機嫌そうに怒っている先生の顔を子どもが思い浮かべるようではいけません。子どもの目を見て自分から大きな声であいさつする先生には、子どもたちの健やかな成長を願う熱意を感じます。
次は、子どものことをよく観察しているところです。
子どもたちと遊びながら、誰と誰とが仲が良いのか、競い合っているのは誰と誰か、孤立している子はいないかなど、目配りを欠かさない先生には、子どものことをよく知っておこうという熱意があります。
そして、たくさん声かけをしているところです。
注意するときも、褒めるときも、具体的に言います。例えば、「廊下を走ると転んで危ないよ。安全のために上履きのかかとは踏まないようにね」とか、「お便りを配ってくれて助かります。ありがとう」とか。こまめに声をかける先生には、常に子どものことを気にかけている熱意が認められます。
子どもをよくしたい、できないことをできるようにしてやりたいという教師としての熱意をどのように伝えるか、常に考え、やり方をアップデートして子どもたちと接するのが教師の務めです。
熱意を持って日々子どもたちに懸命に向き合っている教師の姿は、ほかの教師にも影響を与えます。こうした熱意を教師集団が共有することで学校全体が変わり、その学校の文化が醸成されるのです。
ただし、熱意をどうやって実行にうつすかは、教師によって異なります。教師にはそれぞれに持ち味があり、A先生のやり方がB先生に合うとは限りません。
かつて『3年B組金八先生』というドラマがヒットしました。武田鉄矢演じる熱血教師・坂本金八が難しい年頃の中学生を相手に奮闘する物語です。そのやり方の是非はともかく、金八先生の熱意がほとばしる内容であったことは疑いありません。
わたし自身は教師としての熱意をどのように伝えてきたでしょうか。
思い返すと、わたしは「腑に落ちる」という経験をさせることに力を入れてきた気がします。
中高生に国語を教えていたとき、古典文法を苦手とする生徒が少なくありませんでした。とにかく暗記することばかりで苦痛だと言うのです。
あるときわたしは「あしからず」という言葉を使ってみました。「悪く思うな」という意味でいまでも慣用的に使うので生徒たちは知っています。でもこれが「悪(あ)しく・あら・ず」の縮約した表現で、「あしから」は形容詞「悪(あ)し」の未然形だと説明すると、生徒は驚いた顔をします。
そして反対は「良からず(良く・あら・ず)」だと説明し、古語には良い方から順に「よし」「よろし」「わろし」「あし」の形容詞があり、それぞれ「良い」「悪くない」「良くない」「悪い」と訳せると教えました。
さらに、ウエルカムを意味する「ようこそ」は「よくこそ(来たれ)」が転じた表現だということから、音便や係り結びの法則へ関連づけます。
すると、生徒から「『信号よし』の反対は『信号あし』なんですね」とか、「『よくぞ(来てくれた)』も同じですか」とかいう突っ込みが入ります。
教えたいという熱意は、覚えさせるという一方的な指示では伝わりません。「なるほどそういうことなのか」という得心のいく経験をさせることが学ぶ喜びにつながると思うのです。

伊東 達矢
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