伊東達矢校長ブログ
2026.02.28
余白
学習指導要領とは、全国どこの学校でも一定の水準が保てるよう、文部科学省が定める教育課程(カリキュラム)の基準のことです。ほぼ10年に1度改訂されます。
1989年(平成元年)の改訂では、小学校の1・2年生に「生活科」が導入され、高校の家庭科が男女必修になりました。
1998年・1999年(平成10年・11年)の改訂では、「総合的な学習の時間」、高校で「情報科」が導入されました。
2008年・2009年(平成20年・21年)の改訂では、小学校5・6年生に「外国語活動」が導入されました。
2015年(平成27年)に一部改正があり、従来の「道徳の時間」が特別な教科である「道徳科」となり、教科書の使用、指導要録への記述式評価(数値評価なし)が導入されました。
そして次期学習指導要領は、2026年(令和8年)に答申・改訂され、2030年度(令和12年度)から小学校を皮切りに順次全面実施される予定です。
昨年9月、文科省の中央教育審議会の部会は次期指導要領の改訂に向けた「論点整理」を公表しました。この「論点整理」は改訂の全体的な方向性を明らかにするものです。文科省のホームページにある「論点整理(素案)」は100ページを超える大部なものですが、そこから少し拾ってみました。
冒頭に「基本的な考え方」として明記されているのは、こんな言葉です。
生涯にわたって主体的に学び続け、多様な他者と協働しながら、自らの人生を舵取りすることができる、民主的で持続可能な社会の創り手を「みんな」で育むため、
①「主体的・対話的で深い学び」の実装(Excellence)
②多様性の包摂(Equity)
③実現可能性の確保(Feasibility)
の3つの方向性を踏まえて議論を行う。これらの3つの方向性に基づく改善は、教育課程内外のあらゆる方策を用いつつ、三位一体で具現化されるべきものである。
①は、現行の学習指導要領の目指す「主体的・対話的で深い学び」のいっそうの具現化・深化を図るものとされています。「実装」というのは、すぐに使えるようにシステムに組み込むことですから、「主体的・対話的で深い学び」のエクセレンス(卓越性)はまだ十分に定着していないとも言えます。
②は、多様な個性や特性、背景を有する子どもが多くなっている実態に向き合い、多様性を個人や社会の力に変えることを目指しています。「包摂」というのは、一定の範囲の中に包み込むことですから、いまの教育現場にはエクイティ(公正)が内包されていないとも言えます。2024年度の調査で、小中学生の不登校人数が12年連続で過去最多を更新していることも関係していそうです。
③は、教師に過度な負担の生じにくい、持続可能な在り方を追求し、教師と子どもの双方に「余白」を創出し、豊かな学びに繋げる必要があると説明されています。この「余白」とは「教育の質の向上のための時間的余裕」と書かれています。つまり、いまの教育現場の負担を軽減するフィジビリティ(実現可能性)は確保されていないというのが前提にあります。
教師にも子どもにも「余白」のない現実が「持続可能な社会の創り手」を育むという教育の目標を阻んでいるのなら、これこそが今日の大きな問題です。

伊東 達矢
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