伊東達矢校長ブログ
2025.09.22
三つの「い」問題
人間関係がうまくいくと幸せを感じます。一方、うまくいかないとストレスがたまります。良好な人間関係は、社会に生きる上でとても重要です。
学校で子どもは、集団活動を通して友だちとの関係づくりを経験します。
生育歴の異なる子の存在を知り、他者を意識することから始まり、興味を覚えた子同士で引かれ合い、友だちになります。
時には反発したり、競い合ったりして、その中で我を通さず、自律することの大切さを学びます。手助けしてくれた人に感謝する気持ちが芽生えると、相手を思いやり、仲間に貢献しようと行動するようになります。そうやって子どもたちはコミュニケーション力を高めていきます。
けれども、大人の世界と同様、学校という小さな社会でも、子どもたちが良好な人間関係を築くのはなかなか難しいものです。
三つの「い」、すなわち、いじめ・いじわる・いやがらせが発現するからです。子どもだけでなく、社会的な人間であるわたしたちは、この三つの「い」問題から逃れることはできません。
三つの「い」問題に、学校は、親は、そして当の子どもたちはどのように対処すればいいのでしょう。
しばしば「いじめっ子には重い罰を!」と言われます。実際、学校でいじめが発覚したとき、張本人を厳しく指導することは当然に行われます。しかし、それは発達段階にある子どもを教育し、人間的な成長を促すという学校としての責務によるものです。断罪することが目的ではありません。
また、いじめられた子に「気にしないように」とか「もっと強くなりなさい」とか言うのはどうでしょう。当人はそれまでずいぶん我慢をしてきたはずです。我慢が限界になって訴えてきたときでさえ、「他の人には言わないで」と秘密にしたがるのは、事が大きくなることへの不安の表れです。こういう心境にある子に「気にするな」「強くなれ」と言うのは、その子を絶望に追いやりかねません。
学校をはじめ集団活動を送る場には、所属する一人一人の安心が保証されていなくてはいけません。安心感は、自分の味方になってくれる人がいること、安全な居場所があることによってもたらされます。
子どもにとって自分の味方になってくれる人は、友だちや先生、そして何より親です。
そして学校は、全ての子どもにとって安心・安全を感じられる場所になるように手立てを講じなくてはいけません。
いじめがあった場には、いじめた子、いじめられた子だけでなく、傍観していた子や、無関係を決め込んでいた子がいます。
わたしが子どもたちに知ってほしいのは、三つの「い」問題がクラスや学年の人間関係を不安定にし、その結果全員が不利益をこうむるということです。不利益になるとわかっていながら、その行為に加担したり、見て見ぬふりをしたりすることは、実に愚かなこと、頭の悪いことです。なぜなら、誰一人として人間的に成長できないからです。
「人間的に成長するというのは、何が愚かなことであるかを知り、頭のいい人間になろうとすることだ」。三つの「い」問題について、このようにわたしは子どもたちに伝えています。

伊東 達矢
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