伊東達矢校長ブログ
2025.09.26
はやくしなさい
ホームページ校長挨拶の「一人一人の成長のために」と題した中に、次の一節があります。
あせらずせかさず先回りせず/転ばぬ先のつえをがまんして
「はやくしなさい!」と、親は家で、教師は学校で、子どもに言ってしまいがちです。
そのものズバリ、『はやくしなさい!』という題名の絵本があります(金の星社)。
その中で、ママは「ぼく」に、「はやく きがえて!」「はやく かおを あらって!」「はやく ごはん たべちゃいなさい!」と、「はやく」を連発しています。
子どもはマイペースです。
4月。入学したばかりの1年生が昇降口に登校してきます。
ランドセルや水筒を身に着けたまま、靴箱の前でぺたんと床に腰を下ろします。外靴を左と右、一つずつ脱ぎ、上履きを取り出して左と右の足に履きます。
そうしている間にほかの子たちが登校してきて、辺りは遠足でお弁当を広げているときにように子どもたちの輪ができます。雨降りで傘やレインコートを持ってきていると、さらにその辺りは混雑します。立ち上がったとたん、ランドセルの中身がどさっとばらまかれることもあります。「小学生あるある話」ですが、実際に目にすると少しびっくりします。
そんな様子を見ていてじれったくなります。もう朝の会の始まる時刻です。なかなか大人の想定する時間内に事は進みません。「はやく」と言いたくなります。
時間を管理できることは集団生活する上で重要です。教師が「切り替えをしよう」とよく言うのは、子どもたちが時間の管理をできるようにするためです。そのことを学校で子どもたちは日々、学んでいます。履き替えるのだって4月に比べたらずっとスムーズになりました。隣の2年生の場所では混雑は起きません。
ただ子どもに時間管理を教えるとき、「させる」「やらせる」というのではなく、どうしてそうしなくてはいけないのかを考えるように促すという視点を大人は持っていたいものです。
規律は守らせるというより、自ら身につけられるようにするのが本来の教育です。「守らせる」という言い方には、子どもを従わせる対象として捉えているように感じます。子どもがしないこと、できないことに、「させる」「やらせる」という表現を使うと、子どもが自分で考える力を失わせてしまいかねません。
せかさなくても大丈夫。「いま」を生きている子どもたちは、着実に成長しています。
「はやくしなさい」と口に出しそうになったとき、このことを思い出そうと思います。

伊東 達矢
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