伊東達矢校長ブログ

2022.07.12

してくれたらうれしい

 大人は子どもに「しなさい」とよく言います。家で親が、学校で先生が言います。「早く起きなさい」「よそ見しないで食べなさい」「きちんと服を着なさい」「あいさつをしなさい」「廊下は走らず歩きなさい」「人の話を聞きなさい」「宿題をやりなさい」。テストの問題用紙には「答えを書きなさい」。子どもたちは1日に何回「しなさい」と言われるでしょう。

 「なさい」は「なさる」の命令形「なされ」が変化したもの、あるいは「なさいませ」が短くなったものとされます。「しなさい」は「しろ」「せよ」より丁寧な言い方ではありますが、目上の人には使いませんから、まちがいなく相手を下に見た言い方です。だから言われると命令された気になります。「してください」と言えば少し和らいだ感じにはなりますが、それでも何か要求されていることに変わりはありません。

 親から「しなさい」と言われ続けると、子どもはだんだん嫌気がさしてきて、ときには「もうやらない!」と反抗します。わたしにも、「勉強しなさい」と言われて「いましようと思っていたのに」と不満に思った経験があります。

 「しなさい」と言う側からすると、「はい!」と返事をしてすぐ取りかかってくれるのを期待するのですが、なかなかそういう受け答えになることはありません。というのも、「しなさい」と言うのは、たいてい叱るときだからです。

 未熟だから大人の言うことを聞かなくてはいけないのは、子どもたちもわかっています。子どものことを思って言っているのもたぶん承知しています。かといって四六時中「しなさい」の嵐ではうんざりもするでしょう。

 叱られている子どもにこっそり聞いたことがあります。

「何て言われた?」

「反省しなさいって言われた」

「それで反省した?」

「うん、したよ」

「本当に? 早く(叱られるのが)終わらないかなって思っていたんじゃない?」

「そうだよ。ずっと反省しなさいって言われていやになっちゃう」

 表面では神妙な顔をしていても、内心では「面倒くさいことになったなあ」というくらいの気持ちでいることも多いのです。だからまた同じようなことをして、「何回言ったらわかるの。前にも言ったでしょ!」と叱られるのです。

 子どもは子どもなりに周りの期待に応えたいと思っています。自分がしたことで人が喜んだり、感謝してくれたりすると、子どもは自分に自信を持てるようになり、もっと自分を高めようします。だからわたしは、「しなさい」と言う代わりに、「してくれたらうれしい」と言うようにしています。

 本校には「自律と感謝の気持ちで社会に貢献する」という校訓があります。社会に貢献する第一歩は、身近な人に感謝されることにあるのではないでしょうか。人に感謝されればもっとがんばろうと思い、すべきことに自ら取り組むようになる、そうわたしは思います。


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