伊東達矢校長ブログ

2023.01.10

教え子

 年末、前任校で中学1年生から高校3年生まで持ち上がった学年の成人同窓会に招かれました。会うのは2年ぶりです。この元生徒たちは奇しくもわたしの娘と同学年でしたので、13歳から18歳までをわが子の成長とともに見てきたことになります。

 高校で学年主任だったわたしは祝辞を頼まれました。二十歳を迎える300人以上の教え子を前に、「君たちをわが子のように思ったことはない。あくまで生徒として、そして母校の後輩として接してきた。そして卒業して二十歳となってからは、一人の大人として付き合っていこうと思う」と述べました。

 「教え子はわが子も同然」という考えもありますが、わたしはあえて与しません。親のわが子に対する愛情と、教師が生徒に向ける思いをないまぜにしないように自らを律してきたからです。教え子は可愛いものです。どんなに年を重ね、社会的に成功を収めても、「先生、先生」と言って慕ってくれます。教師冥利はここにあります。在学時に手を焼いた元生徒ほど懐かしく、その成長を頼もしく感じます。ただ同時に、学校を送り出してからは教師としての責任がないことに思い至るのです。

 学校の教師は受け持ちの生徒の学習成績や生活態度に責任を持ち、優れた面だけでなく、未熟な面にも気を配り、指導します。この点は親の子に対する責任も同じでしょう。しかし、好むと好まざるとにかかわらず親の責任がずっとついてまわるのに対し、教師の責任は生徒の卒業を機に一度リセットされます。

 教師と教え子との関係は、担任だったとか、部活の顧問だったとかいったことによって深くもなるし、浅くもなります。連絡を取り合うこともあれば、音信が途絶えることもあります。在学時に父親や母親のような存在の教師だったとしても、卒業後は決して親代わりにはならないでしょう。

 クラスの生徒同士がもめごとを起こしたとき、親との関係をこじらせたとき、大学選びに迷っているとき、事に当たる教師の責任は重大です。受け持ちの生徒の学習成績、性格や態度、学校生活の様子、家庭環境など、あらゆる情報を踏まえなくてはいけません。向き合う生徒の数だけ責任があり、気苦労は絶えません。それだけに、生徒が自他ともに成長したと認められたときは、教師として責任を果たしたという達成感もひとしおです。

 いま、小学校で子どもたちと接していると、学校や教師の責任の重さをいっそう強く感じます。不用意な言動はできません。中高生以上に慎重かつ丁寧に向き合う必要があります。自分の振る舞いが子どもたちの成長に影響することをつねに念頭に置き、教師としての信念と自信を持って真剣に付き合うようにしています。

 ひさしぶりに会った教え子たちの近況を聞いて嬉しくなりました。持ち上がった6年間に担任したのは182人を数えます。そのうち1人は4回、11人は3回、42人は2回、わたしが担任でした。母校を巣立った彼らがこれから社会で揉まれていく姿を思い、年月が経ってふと思い出したとき、あるいは大成したとき、または挫折したとき、「先生、あのね…」と、在学時の生徒のように話しかけてくれることを期待した年の瀬でした。

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