伊東達矢校長ブログ

2023.06.26

あいさつは自分から

 朝の会が始まる前、校舎を見回っていると、早く登校していた何人かのお友だちが教室のそこここにいます。その子たちに「おはようございます」と声をかけると、振り向いて「校長先生、おはようございます!」と声をそろえてお辞儀します。このときわたしは、きょう1日を楽しく過ごせそうな、幸せな気分になります。

 社会生活を送る上で大切なのは、「あいさつができる」「お礼が言える」「公共のマナーが守れる」の3つだと思います。そしてこれらは、家庭と学校で繰り返し教えられ、身につくようになるものです。あいさつを交わすことで心が開き、相手との距離が縮まります。まさにコミュニケーションの基本です。

 先にするのがあいさつで、相手からされてするのはあいさつではないと言います。だからわたしは朝、人と目が合うとすかさず自分から「おはようございます」と言うようにしています。ときどきあいさつが返ってこないと、肩すかしにあったような、さびしい気持ちになります。でもそれは返事という見返りを求める、思い上がった根性です。ひょっとしたらその人は悩みがあってうわの空だったのかもしれませんし、そもそも聞こえなかったのかもしれないのです。「言われる前に言ったら勝ち(?)」という心構えであいさつをするように心がけています。

 もうせん、朝、職場の親しい同僚に、「オハイオ州立大学!」と言っていたことがありました。たいていは笑って(苦笑して?)「おはよう」と返ってくるのですが、ジョーク好きは「マサチューセッツ工科大学!」とか「ゆうべはさっぱりネバダ州!」とか、得意げに返してきます。くだらないけれども楽しいコミュニケーションでした。そんなやり取りが1日の始まりを愉快なものにします。アメリカ人教師は、オハイオ州で日本人はなぜ朝に州の名前を叫ぶのかという話があることを教えてくれました。

 小さなお友だちが元気にあいさつをするとき、目はキラキラ、顔はニコニコ、本当にうれしそうです。人との距離が近づくことは、それくらい心に喜びとエネルギーをもたらすのでしょう。

 子どもにあいさつを教え、それが習慣となって子どもが自然に口に出すようになる姿には、これからぐんぐん伸びていくことを感じます。それを見ると、この小さな人たちを育てずにはいられない気持ちになります。人を育てるというのは、人間に備わったこのような自然な心の発露なのではないでしょうか。

 上皇さまの教育係として知られる児童心理学者の倉橋惣三は、「自ら育とうとするものを前にして、育てずにはいられなくなる心、それが親と教育者の最も貴い育ての心である」と書いています(『育ての心』)。

 親も教師も、自ら伸びようとする子どもに対して、自ずと伸びるような支援のあり方を追求しなくてはいけません。無理に引っ張って伸ばそうとすると、切れてしまうかもしれません。子どもたちの目の輝きを注視していれば、その塩梅もわかると思います。

 こう書いてきて、自分は朝、家族に「おはよう」と言っているか振り返ると、面倒くさいというより照れくさくて言っていないことに気づきました。いけませんね。家族にも自分からあいさつをしなくては。

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