伊東達矢校長ブログ
2024.01.16
入試問題
入試問題
受験シーズンです。名進研小学校の6年生たちも正念場を迎えています。
1月13日・14日には大学入学共通テストが行われました。50万人規模、最大級の一斉テストです。
前任の私立高校で学年主任をしていたときの生徒たちは、この共通テストの第1回受験生でした。前身の大学入試センター試験から大きく変わる点として、国語に記述式問題が導入されることと、英語に民間試験が活用されることが鳴り物入りで伝えられ、教員も生徒も情報収集と試験対策におおわらわでした。ところが実施まであと1年という2019年の冬、記述式の出題と民間試験の導入のいずれもが延期になり、その後見送りが決定します。迷走は大きな波紋を呼びましたが、当の生徒たちは粛々と受けとめ、さほど混乱しませんでした。入試制度に不備や変更があっても、不断の積み重ねによって身につけた学力が揺らぐことはないのだと思いました。
大学入試の出題傾向は、高校入試、中学入試に影響します。長く国語を担当し、中学入試問題、高校入試問題、大学入試問題に接してきた経験から断言できます。共通テストまでの大きな変化として情報量があります。国語で「本文」と呼ぶ文章の文字数は、かつての共通一次試験、センター試験よりも増えています。設問の選択肢も、以前は1行ですませていたのが2行、3行に及ぶのが当たり前です。時間内に目を通す情報の量が格段に多くなりました。読解と判断に速さを必要とする傾向は、情報時代の入試問題が持つ宿命なのでしょう。
今年の共通テスト国語の現代文2つの試験問題は、きわめてオーソドックスでした。
第1問(評論・50点)
問1 漢字(5つ)(10点)
問2 傍線部の理由(7点)
問3 傍線部の説明(7点)
問4 傍線部の理由(7点)
問5 文章の構成・展開(適当でないもの)(7点)
問6 本文を読んだ学習者の見解(枝問3つ)(12点)
第2問(小説・50点)
問1 語句の意味(3つ)(9点)
問2 傍線部の説明(5点)
問3 傍線部の理由(6点)
問4 主人公の描写の説明(7点)
問5 傍線部の主人公の心情(7点)
問6 本文の表現に関する説明(適当でないもの)(6点)
問7 本文に関する「資料」に基づく教師と生徒の対話(枝問2つ)(10点)
傍線部の理由を聞く設問、傍線部の説明を求める設問は、定番中の定番と言えます。選択肢を本文と照らし合わせ、整合性に欠けるものを除くという「消去法」が有効です。本文について学習者が考えたことを用意した設問や、生徒と教師の対話形式の設問は、文部科学省の「主体的・対話的で深い学び」や、アクティブ・ラーニングの趣旨を受けて編み出され、定着したと思われます。これらの問題形式には、最近の私立中学の入試問題に通底するものがあります。
選抜試験である以上、高得点を目指さなければいけません。「問題がよくない」とか「入試制度がおかしい」とかいった文句は、受験生当人にとって意味がありません。国語の入試問題に強くなるには、制限時間内に本文を正確に読み取り、紛らわしい選択肢を精緻に見分ける方法を身につけること、そしてそれを実践する問題演習の時間を確保することに尽きます。
伊東 達矢
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