伊東達矢校長ブログ

2022.11.24

先生の悪口

 今度の担任ははずれだわ。

 わが子の前でこんなことを言う親がいます。たとえそう思っても、子どもの前で言うべきではありません。教師や学校の威厳を守りたいからではなく、子どもの成長の妨げになるからです。親の言葉の影響は大きい。「はずれの先生」に受け持たれていると思った子どもは、前向きに学ぼうとする姿勢を持つことができるでしょうか。担任の教師を馬鹿にしたり、指示を無視したりして、落ち着いた学校生活を送ることができません。

 クラスの子どもにとって担任はもっとも身近な教師です。また、担任をする教師にとっても自分のクラスの子どもは特別です。それは担任になると「うちのクラスの子」と言い方をするところに表れています。

 親にとっての「うちの子」は3人ぐらいまででしょうか。それに対し、担任の教師にとっての「うちのクラスの子」はもっと大勢、30人はいます。その一人一人が異なった家庭環境に育ち、性格も違います。担任には、そうした子どもたち同士の関係をうまくむすび、学級活動を通して成長させることが期待されています。

 その期待に応え、子どもたちを健やかな成長に導くには、家庭と学校との信頼関係が欠かせません。親がわが子に向かって教師を否定するような発言をすると、その子と教師との関係に溝ができてしまいます。家庭でも、母親が「お父さんのようになってはだめよ」と言うと、父子の関係はぎくしゃくしたものになりがちです。

 教師にも至らないところはあります。人間ですから相性の良し悪しもあるでしょう。ただし学校の教師は、免許を持つ教育の専門家として、成長の途上にある子どもたちに思いつきや気分で接することは許されません。個人的な思いだけに頼ることなく、学年団や校内分掌の教師たちと連携して職務に当たっています。ですから、担任の学級運営や子どもへの向き合い方に不安があったら、親は子どもに漏らすのではなく、直接担任へ伝えるのが一番です。学年主任や教頭、校長に申し入れてもかまいません。聞く耳を持たないようでは教育のプロとして失格です。名進研小学校では、毎日放課後に担任が家庭へ電話をします。また、保護者が校長へ直接メールできる「目安箱」という窓口を用意しています。

 私立学校も公立と同じように公教育(公的な制度にのっとった教育)を担っています。私教育を行うサービス業の塾や予備校とこの点で大きく異なります。学校の教師は、学費を負担する保護者よりも、教育の受け手であるその子どもたちを優先します。顔色をうかがってかえってその子のためにならないことになっては教育者として本末転倒です。寄り添うこととすり寄ることとは違います。学校の教師には、学習と生活の両面で子どもたちを教え諭し、時に親やその子自身に疎まれることもいとわない姿勢が求められるのです。

 わが子のことになると誰もが主観的、感情的になります。そしてほとんどの人は自分が学校で経験したことに基づいて意見します。わたし個人も自分の子のことになると、客観的、教育者的に見る自信はありません。教える対象がわが子でないからこそ、好悪に左右されることなく、その子にふさわしい教育的手立てを考えられるのです。

 若い教師は確かに経験に乏しい。でも子どもたちの成長にとって、授業や学級運営に長けたベテランがいいとは限りません。若い担任教師の意欲的でダイナミックな指導に、クラスの子どもたちが刺激を受けることは少なくありません。子どもたちとともに教師も成長するのであり、それが子どもたち自身の成長にも大いに資するのです。

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