伊東達矢校長ブログ

2026.04.27

思い通りにならないことに耐えられない子どもたち

 最近の子どもたちの不適応には「思い通りにならないことに耐えられない」という特徴があると指摘されています。具体的な事例として次の二つが挙げられています(『「𠮟らない」が子どもを苦しめる』ちくまプリマー新書・2024年)

【事例1:授業時間が長いから学校に行かない】
 小学校1年生の男子。小学校入学後しばらくしてから登校を渋るようになる。理由は「授業時間が長いから」と話す。学校としては、親に送り出してほしいという思いはあるが、「本人が嫌がるので」と親は子どもに言われるがままである。五月雨式の登校は続き、学年が上がってもその傾向は変わらず、もともと学力には問題がなかったにもかかわらず、徐々に学力の低下が起こり、それがまた登校の難しさにつながるという悪循環になっている。
【事例2:都合が悪い状況で「いじめ」と主張する男子】
 小学校4年生の男子。同級生とのやり取りで自分の要求が通らない状況や否定的な場面で「いじめられた」と主張する。例えば、自分がやりたい遊びができないとき、ドッジボールで当てられたときなどにそういった発言が見られる。親は男子がいじめられていると考え、対応や謝罪を学校に要求する。

 二つの事例には、思い通りにならないことを子どもが拒否し、それを親も後押ししているという共通点があります。事例1には、子どもに教育を受けさせるという義務を果たそうとしない親の姿勢が、事例2には「わが子ファースト」を学校に強要しようとする親の考えがそれぞれうかがえます。
 学校に限らず、社会的な場には自分の思い通りにならないことがいくらでもあります。
 乳児は不快や不満を泣くことで訴えます。不快・不満の原因は、お腹が空いたのか、おしめが濡れたのか、はたまた眠いのか、親はいろいろ推しはかって対処するでしょう。
 幼児期はまだ物事の分別がついていませんから、思い通りにならないと大声で泣き叫びます。これがほしい、ここへ行きたい、これをさわりたいといった欲求は、今はできないこと、してはいけないこと、したら危険なことを知らないがため、際限がありません。それを教えるのは親の務めです。
 学校に通うようになれば、生育歴も環境も異なる集まりの一員として社会性を身につけます。自分の思い通りにならないことにも多く出合い、心の中で葛藤したり、時には言い合いやけんかをしたりします。しかしそうした経験を通して子どもは社会性を学んでいくのです。そのために学校の教師は、集団の中で互いを尊重する必要性を教え、ルールを守る大切さを指導し、規律に反したときに叱るのです。
 子どもにしたいことをただ自由にさせていても、子どもの自己肯定感は高まりません。子どもが自分の思い通りにならないことを受け入れ、自律して行動できるようになって初めて自己の成長を自覚することができるのです。

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