伊東達矢校長ブログ
2026.08.26
幼保こ小の接続
幼稚園・保育園・認定こども園(幼保こ)の先生たちと交流する機会がありました。
幼稚園や保育園から小学校へ進学するときの環境の急激な変化に、子どもが戸惑って学校生活に馴染めなくなる現象を「小1ギャップ」「小1プロブレム」と言います。こうした現象に対し、「幼保こ小の接続」という、就学前施設の動向を踏まえた小学校への円滑な接続を目指す取り組みが行われています。今回の交流はその一環です。
気づかされたのは、「幼保こ」の現場と小学校の現場との間で、相互理解と情報交換が十分でないことです。小学校側は実際の園における保育の様子をよくわかっていませんし、園の側も小学校の教育の実情を知る機会があまりありません。そもそも「接続」が話題になること自体が「接続」がうまくいっていない現状を表しています。
保育の現場から、接続の重要性を意識しながら、小学校側からのリクエストとしてこんなことが紹介されました。
「姿勢や文字を教えてほしい」
「本をたくさん読ませてほしい」
「自分で発言できるようにしてほしい」
これらは小学校からの期待であると同時に、保護者の要望にも重なっていそうです。
同席した保育学の大学教授からは、「確かに小学校に入学すれば、45分間、教室で正しい姿勢で椅子に座り、ノートに丁寧に文字を書くことが求められる。授業で文章を読むこと、発言をすることも必要。けれども、正しい姿勢で座らせ、丁寧にノートをとるようにさせるのは小学校の仕事であり、前倒しして園で教えなくてはいけないわけではない」と指摘されました。
また、「自分で発言できるように」については、「ほとんど話さなくても一言鋭いことを言う子がいる。自らたくさんの発言をすることだけをよしとせず、子ども一人一人の特徴をつかむように努めることが保育の現場では大事だ」という助言がありました。
幼児教育の場で、子どもたちは遊びを中心とした集団生活を通じ、心と体の基礎をつくります。お友だちと遊んだり、けんかしたりする経験を積むことで、社会性や思いやりの心を学びます。こうして心と体の基礎を身につけた上で、評価の伴う教科学習をする小学校へ接続していくのが理想的です。
核家族化と共働き家庭が増えた今日、長時間の保育が期待され、その時間に文字や計算、外国語といった知識や技能を先取りして子どもに学ばせることもめずらしくありません。その一方、本来は家庭でしつけるべきこと――あいさつ、お礼、歯磨き、服の脱ぎ着、箸の持ち方、片付け、公共の場でのマナーなど――がないがしろになり、園や学校で教えてほしいと考える保護者が出てきています。
幼児期の遊びを通した学びを、小学校の各教科の学習へ円滑に接続するには、一心不乱になって遊ぶ経験を、夢中になって学ぶ姿につなげることが大切です。これには、子どもの発達段階に応じた保育・教育に対する意識を、教師だけでなく保護者も持つことが必要です。園や小学校や教えるべきこと、家庭で教えるべきこと。これらはリンクするものですが、それぞれに領分があります。子どもたちの健やかな成長のために、それぞれの役割を意識しながら連携していきたいものです。

伊東 達矢
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