伊東達矢校長ブログ

2026.06.24

大事な存在

 「ママ、大好き!」と言いながら駆け寄ってきたわが子を、ぎゅっと抱きしめた経験は、多くのお母さまがお持ちのことでしょう。
 小学校でも、特に低学年の子が「先生、大好き!」と、満面の笑顔で言ってくれることがあります。そこには、自分を気にかけてくれる大人に対する全幅の信頼があります。わたしたち大人は、子どもたちのそういう気持ちを裏切ってはいけないと思います。
 ところで、子どもから「先生、わたしのこと好き?」と聞かれることもあります。
 さあ、どう答えましょうか。
 「大好きですよ」と答えておけばいいのかもしれませんが、中には「〇〇ちゃんとどっちのほうが好き?」とたたみかけてくる子がいるので油断できません。
 「好き」「嫌い」は、子どもがよく口にする言葉です。
 「嫌い」と同じ字を書く「嫌だ」という言葉も聞きます。
 そんなとき、「どうして嫌いなの?」「なぜ嫌なの?」と理由を聞いても、その答えはあいまいなことが少なくありません。
 先だって校長室に遊びにきた1年生が「嫌な習い事がある」と言うので、「どんなところが嫌なんですか?」と尋ねたところ、しばらく考えて「面倒なところ」と答えました。「じゃあ、好きな習い事はどこが好きなんですか」と聞くと、すかさず「楽しいところ!」と返ってきました。
 子どもは「好き」「嫌い」を言うことで、自分の存在を一生懸命アピールしているのではないでしょうか。好き嫌いには理由のないことのほうが多いでしょう。「楽しいから好き」「面倒だから嫌い」というのは一見理屈が通っているようですが、「好きだから楽しく感じる」「嫌いだから面倒だと思う」とも言えます。
 つまり子どもは、自分のしていること、自分の考えていることを相手に伝えたくてしかたがないのです。それは、自己承認欲求という人間の本能に基づくものです。
 さて、「先生、わたしのこと好き?」「〇〇ちゃんとどっちが好き?」と言われてどう答えるでしょう。
 子どもでも、好き嫌いが誰にでもあることを知っていますから、「みんな大好きだよ」と言っても信じてもらえないことが考えられます。
 そこでわたしは、好き嫌いではなく、「あなたも含め、この学校の子はもれなくわたしにとって大事な存在です」と言うようにしています。ちょっとずるいでしょうか。

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