伊東達矢校長ブログ
2026.10.19
一期一会のライブ授業
10月から一部の学年で国語の授業を担当するようになりました。これまで校長としてマネジメントに専念してきましたが、やはり教師としての性なのでしょうか、教室で子どもたちを前に授業をするとなると、俄然やりがいを感じます。知らなかったことを知る喜びを教えたいと思い、子どもたちの表情を想像しながら、いそいそと準備をします。
授業は子どもたちの反応を見ながら進めますから、必ずしも予定調和とはなりません。説明に子どもたちがどう反応するか、手を挙げた子の答えに教師としてどう返すか、日によって、クラスによって、一様ではありません。だから同じ教材を使っても、毎回授業の風景は異なります。そこがライブ授業の醍醐味です。
授業に臨むに当たり、子どもたちには「あとで」はない、「いま」しかないという「覚悟」を持ってほしいと伝えました。授業中に気になったことがあったら、その機をのがさず、その場で質問するように言っています。授業進行の妨げになるという気遣いは無用です。なぜなら、そのとき気になったことをあとで解決しようとしても、きっとできないものだからです。「あとで」「またね」という機会はおそらく来ない。中高の後輩でもある林修氏の有名な「いまでしょ」というフレーズはまさに言いえて妙です。
国語のテスト問題を解くときは「本文を何度も読み返す時間はない、通読は一回限り」と念頭に置きます。そして1回通読したら、設問をじっくり読んで本文と照らし合わせるという「部分読み」を勧めます。すると、本文のキーワード(それがないと本文が成立しないことば)が自ずと浮かび上がってきます。
ある程度経験を積んだ教師の授業を受ければ、たいていは「わかった」と感じることでしょう。でも「わかる」という感触を得ても、「できる」という成果には直ちにつながりません。「わかった」と感じたら、自ら実践するというトレーニングを積んで「できる」ようにしなくてはいけません。宿題が出されるのは、授業で学んだ方法を使い、別の問題で得点できてこそ、初めて授業で得たものがわがものとなるからなのです。
きょう授業で取り扱った文章には、「既成の考え方が本当に正しいのかという問いを、いままでにない方法を用いて表現する」という「アートの力」について書かれていました。そして設問には、「あなたがもしアーティストだとしたら、具体的にどのような作品を発表し、社会にどのようなメッセージを発信しますか」とありました。
わたしはこの設問の解答を紹介する際に、芸術家のマルセル・デュシャンが「泉」というタイトルを付けて展覧会に出品した男子用小便器の写真を見せました。既成の考え方を疑うというのは、いつの時代でも若い世代に期待されるものです。
国語の教師であれば、入試問題を扱うときも、解き方と解答を示すだけでなく、その文章が取り上げられた視点についても考えさせることができます。

伊東 達矢
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