伊東達矢校長ブログ

2022.06.30

ファストパス

 ファストパス

休み時間に校長室を訪れるお友だちの数が多くなり、「密」になるだけでなく、子ども同士でぶつかったり、大きな声が廊下にまで響いたりする場面が出てきました。

そこで一度に入室できる定員を決めました。室内にある椅子の数と同じ8人です。入口にこんな掲示をして、各教室にも貼ってもらいました。

 

校長先生とおはなししたい人

校長室の本を読みたい人

校長室でぼーっとしたい人

8人まで入れます

 

突然の変更に「どうして8人しか入れないの」と不満を口にする子どもがいました。

8人になると「満員でーす」と言って校長室の扉を閉めてしまう子どももいました。

得意げに「もう入れません」と校長室の外へ向かって声を上げる子どももいました。

制限をクリアできた者(この場合は定員の8人に入れた子)は優越感を持つということがよくわかります。満員だからといって扉を閉めて鍵をかけてしまうことがありましたが、優越意識をことさら植え付けることになっては教育上よくありませんので、満員でも扉は開けたままにしました。

8人でいっぱいになると、入れないお友だちが校長室の前に集まってのぞきこみます。そこまでして校長室に入りたいのかと、わたしには少し驚きなのですが、おそらく子どもたちにとって校長室に入るというのは特別な体験のように感じられるのでしょう。

しばらくして、本当に「校長先生とおはなししたい人」がなかなか校長室へ来られないという声が耳に入ってきました。もじもじしているうちに常連さんたちに先を越されてしまうようでした。

そこで一計を案じ、「ファストパス」を発行することにしました。これは8人の定員に関係なく、校長室に入れるパスです。わたしが決めたお友だちに渡します。

ファストパスの存在を知った子どもたちは、口々に「どうやったらファストパスがもらえるの」「わたしも欲しい」と言ってきます。折り紙にわたしの似顔絵を付けて「ふぁすとぱす」と書いて作ってきた子もいました。そうしたお友だちには、「必要だとわたしが思う人がいるんです。だから渡す人はわたしが決めます」と伝えました。

今のところ、ファストパスを発行したお友だちは3人。やってきたら必ず話をするようにしています。雑談でいいのです。ただ具体的な話をするように促します。ぽつぽつとですが、自分の身辺に起きたことを話してくれるようになります。話を通し、その子の抱えている悩みや課題が見つかることがあります。

ファストパスも優越感を与えるものでしょう。「あの子だけずるい」と言われることもあるでしょう。そんなときは、「校長先生が決めたんです」という「権威」の出番です。

話を聞いてほしいという子どもの思いにはできるだけ応えたい、それも自分から言い出せない子どもの思いこそ大切にしたい、わたしはそう考えます。子どもが言いたいときに聞かないと、永久に聞けないかもしれませんから。

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