伊東達矢校長ブログ

2022.04.28

泣く子は育つ

 子どもは泣くものです。涙を流し、声の限り泣き叫びます。それがいつからでしょうか、声を殺して泣くのをこらえるようになります。小学校高学年ともなれば、まず人前で泣くことはありません。

 小さな子が泣いているとき、大人は「泣かない、泣かない。泣かない子は強い子」と言い、子どもが泣き止むと、「そうそう、泣かない子、えらい、えらい」と、すかさずほめることがあります。子どもの泣き声が周りに迷惑になるから、静かにさせたいこともあるでしょう。でも、子どもはいつだって思いきり泣きたいのではないでしょうか。そんな気持ちを思いやることも必要です。

 忍耐力を人は評価します。我慢強いことは長所の一つとされます。でも、成長の途上にある子どもの泣きたい思いを、我慢強くなれと言って抑えるのは、時に酷なことだと思います。

 かつて男の子たちは、「男だったら弱音を吐くな」「男が泣くなんて女々しい」「めそめそするな、我慢しなさい」と言われて育ちました。ジェンダーフリーの考えが浸透しつつある現在は、おおっぴらにそうは言われません。

 けれど、おもてだって言われなくなったからといって、人の意識は簡単に変わらないものです。たとえば、「アメリカ人男性」といったら、映画やドラマで描かれるような、マッチョで力強い、感情を(ふだんは)表に出さない「強い男」がイメージされるのではありませんか。

 女の子だってそうです。女性の社会進出や男女の機会均等が進んでも、「女らしさ」の呪縛からなかなか逃れられません。身体的な痛みに、女性は男性よりも強いそうですが、精神的な痛みに男女の差はないと思います。

 もっと泣いていいんです。悲しいことがあったときはもちろん、事がうまくいかなくてつらいとき、誰かに腹が立ったとき、そしてうれしかったり、感動したりしたときも、わたしたちは泣くんです。泣いていいんです。まして子どもには、我慢しないでもっともっと泣いてほしい。

 泣くとすっきりしませんか。気持ちが晴れませんか。それをカタルシス効果といいます。泣くことにはちゃんと効果があるのです。

 「笑う門には福来たる」というように、笑うとストレスの解消になります。だから学校でも家庭でも、笑いの絶えないことが大事なのです。そして同時に、泣くことの許される環境も大事です。大人は一人で泣くことが多いでしょう。でも子どもには、人前で泣くことを認めてやらなくてはいけません。

 子どもはよく転びます。わたしは転んだ子どもに近づいていって、「大丈夫? 泣く?」と聞きます。「泣いていいよ、痛くなくなるから」と言います。「痛いの痛いの飛んでいけ」というおまじないも効き目があります。

 子どもに限らず、わたしたちは泣いて笑って人間関係を作り、社会で生きる力を身につけていくのだと思います。

 我慢しないで泣きましょう。でも嘘泣きは無用です。


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