伊東達矢校長ブログ
2023.04.21
立腰(りつよう)タイム
朝の会の始めに校内一斉放送が流れます。
全校のみなさん、おはようございます。ただいまから、立腰タイムを始めます。
1.腰骨を立てます。
2.椅子の半分ぐらいに腰掛け、背もたれに寄りかかりません。
3.両足を揃え、足の裏をしっかり床につけ、手は膝に置きます。
4.お尻は思いっきり後ろに、腰骨はぐっと前に出し、下腹に力を入れます。
5.そっと、目を閉じます。
それぞれの教室で、子どもたちは静かに姿勢を正します。
立腰タイムは、集団生活における情緒の安定にたいへん有効だと考えています。毎朝同じ空間に集い、背筋を伸ばして静かに目を閉じる時間を共有することで、集団の中の自分と一人の自分という存在に向き合います。学級に落ち着いた雰囲気が生まれ、子どもたちに集中力や持続力が身につきます。そして、それぞれの子どもたちの行動や考え方が影響を与え合い、学級目標の達成や個々の能力の向上が期待できます。これがグループ・ダイナミクス効果です。
ただ、そう簡単に集団はまとまりません。学級という集団では、学齢こそ揃っていますが、そこに集う子どもたちは、生まれ育った環境も、家族構成も、生活習慣も、性格もまちまちです。だから「仲良くしましょう」と言うだけでは不十分です。仲良し集団は、もたれ合う関係になってしまいがちです。一人一人が集団の中での自分の立ち位置を意識し、それぞれの個性を活かすようになって初めて、集団として成果を上げることができます。
学級になかなかなじめない子もいます。けれども、そういった子も何らかの役割を与えられ、それを果たすことで学級に貢献できます。だから学校には「○○委員」「○○係」があるのです。立場を得ることで、頼りにされるようになり、集団の中に頼り頼られる関係ができてきます。信頼関係が生まれ、一つの目標に向かって一体となっていけます。
毎朝の立腰タイムは、指示に従う子どもを育てるために行うものではありません。集団生活に活力をもたらし、一人一人の子どもたちに信頼と尊敬が寄せられるようにするための取り組みなのです。
伊東 達矢
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