伊東達矢校長ブログ

2024.09.30

ぼーっとする時間と場所

　前期・後期の二期制を取る名進研小学校には秋休みがあります。今年度は、９月21日に前期終業式、23日に運動会を行った後、24日から30日までの７日間が秋休みでした。平日の休みを使って旅行に出かけた家庭もあります。子どもたちだけでなく、教職員も後期に向けてフレッシュしたことでしょう。
　そうはいっても、４か月後に中学受験を控えた６年生は、のんびりする気にはなれなかったかもしれません。受験勉強で気の抜けない日々を送っていることは、休み時間に運動場や体育館で弾けんばかりに身体を動かす姿を見ているとよくわかります。元気そうに見えても、受験生としてたくさんのプレッシャーとストレスと闘っているのです。
　終業式では、特に６年生に、ぼーっとする時間も大切だと伝えました。チコちゃんには叱られてしまいそうですが、ぼーっとする時間を持つことは、自分を見つめ直す機会になります。スケジュールに追われることなく、頭を空っぽにして過ごすひとときは、きっと心身に安寧を与えてくれます。
　休み時間、子どもたちに校長室を開放していますが、なかなか入室できないという声を受け、９月から曜日によって優先する学年を決めました。ただし６年生はいつでも優先です。「校長先生とおはなししたい人」「校長室の本を読みたい人」「校長室でぼーっとしたい人」と謳う中、ぼーっとしたい受験生を大事にしたいのです。
　以前、校長室に来た６年生の女の子は、話をするでもなく、本を読むでもなく、イスに座り（低学年の子たちで占拠されているときは床に座り）、しばらくしてそっと出ていきました。何日間かそれが続きました。用事があるわけではなく、校長室で独り過ごしたかったのだと思い、「よくおいでになりました」と声はかけましたが、それ以上話しかけませんでした。卒業したその子から、「あのとき校長室に行けてよかった」と言われて思い出しました。一人でふらりと来て過ごせる空間に、何も言わない大人がいることで子どもが安心できるなら、それには意味があると思います。

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